ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー (幻冬舎文庫)山田 詠美
幻冬舎 刊
発売日 1997-06
オススメ度:★★★★
現代の恋人達にとっての教科書 2009-10-06
デビュー作の「ベッドタイムアイズ」から二年後に発表された短編集です。
第97回直木賞受賞しました。
各短編のタイトルがソウル・ミュージック・ナンバーのタイトルになっています。
心地が良いのは、人に頼る事無く恋愛に生きる主人公たちです。
もちろん、学校や、職場、家庭など、日常の雑事を背負っているのは誰しも同じでしょうが
「恋愛に励む時は、一人」
という原則が貫かれている潔さが心地よく感じられます。
折角現代に生きているんだから、恋愛くらい自分の思ったとおりにしたい。
言い訳なんかしたく無い。
現代の恋人達にとっての教科書のように思えた一冊でした。
芥川賞取ったほうがよさそうな直木賞作品 2005-10-07
山田詠美はこの作品で直木賞を取ったが,どちらかというと芥川賞を挙げたほうが良い様な読後感を得た.内容のほうは,強く村上龍を意識した文体となっていた.だが哀しいかな,女性ということもあり開き直りきれていないのか,彼ほど本能的に訴えてくるような文章となっていなかった.
村上龍のエッセイ「全ての男は消耗品である」のあとがきで彼女はこう言っている.
「この本は彼が書いたから絶賛されるのであって,私が書いたら馬鹿だといわれる」
・・・確かにその通りだろう.しかし女性だから許される表現,女性だから持ちえる感性というものもあるのではないか.男性作家と女性作家,どっちが有利ということなんて有りはしないのだから.
尚,この本のあとがきは村上龍であり,彼はこの作品を絶賛していた.
翻訳物のような手応えでの直木受賞作 2005-03-22
外国人が主人公。恋愛純文学の短編。海外翻訳書。
これは、直木賞史上初の芥川・直木賞及びフェミナ賞的受賞作品。
という日本文学史上での野心作にして、偉業。
女心と女の現実とそれへの男の葛藤などをみごとに描ききった
秀逸な文芸作品。
放課後の音符のオトナヴァージョンとでも言えようか?
大衆小説としての直木賞の文学的位置づけをさらに権威付けた、といえ葉子の作品。代表作にして、やっとだが、これを待っていたのでは、と日本文芸作家協会などをも助けた。という裏事情も加味で、
今までにない感覚で読める。おすすめの代表作!
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