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山田詠美の小説は官能的な心理描写や身体器官の描写が本当に秀逸です。快楽に肯定的に生きるエネルギッシュな人を描くポンちゃんの作品を紹介しています。
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せつない話〈第2集〉

せつない話〈第2集〉せつない話〈第2集〉

光文社 刊
発売日 1997-02
オススメ度:★★★




あの名作が 2001-10-06
山田詠美編集となっていたため何気なく手に取った本だったが、とてもびっくりしました。
この本には、有島武朗から内田春菊そして外国人の作家まで14人の作家の作品が入ってます。
そしてどれも心に響く作品で、読み終わったあと本当にせつない気分になりました。
さらに巻末に18人の作家(訳者も含む)のプロフィールまで載っていて、他の作品も読んでみたいという衝動にかられる本でもありました。


さらに詳しい情報はコチラ≫


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色彩の息子 (新潮文庫) |山田 詠美

色彩の息子 (新潮文庫)色彩の息子 (新潮文庫)
山田 詠美
新潮社 刊
発売日 1994-05
オススメ度:★★★★




人の多面性を、色彩で表した秀逸な短編集です。 2009-10-06
妄想、孤独、虚栄、倒錯、愛憎、嫉妬、再生……。金赤青紫白緑橙黄灰茶黒銀に偏光しながら、心のカンヴァスを妖しく彩る12色の短編タペストリーです。

12編全てを挙げて感想を述べたいのですが、ここでは三つに絞ります。


特に印象に残ったのは、第五編白色の「病室の皮」です。善良さを装って病んでいった自分が、かつて住んでいた病室の壁の色を描いています。

誰でも自分を語るときには、装ってしまうものだと思います。そして、人付き合いの上手いと言われる人ほど装いが多いそうです。

ですが、装っている自分を病んでいると認識した、心の変化が痛ましくリアリティーを以て心に染みる一遍でした。


また第九編灰色の「雲の出産」他人の優越感をくすぐってしまうとし子の色を描いた一遍も印象的でした。

キャラクター設定は逆ですが「蝶々の纏足・風葬の教室」新潮文庫1997/03/01に収録された表題作「風葬の教室」を逆の立場から見たような一遍です。

短編ながら複数の登場人物の描写が密で、華やかな印象を受けました。


白眉は第十編茶色の「埋葬のしあげ」です。自分を埋葬する土の色を描いています。

劣等感を意識し、身近なものとの比較の中で生きてきた自分と決別する大人への変化が気持ちよい一遍です。


小説は、登場人物を典型、類型として描く単純な描写が気軽に読めて、わかりやすいですが、

この短編集は、人の多面性をその変化する瞬間を捕らえ、色で表すことによって、描いている内容の複雑さを超えて心に届いたように感じました。

短編集の新たな可能性を示した秀逸な作品であると感じました。

色彩 2008-03-12
残酷なのに、文章はくらくらする程美しい、山田詠美さんの傑作短篇集です。
「心の動きを言葉にしたらこのようになる」作者の頭には、そんなタイトルの標本があり、言葉のピンを抜いて羽ばたかせているのか、と本気で思いました。
鮮やかな色彩が、読む人を包み込みます。


色彩を通して 2006-06-07
まず、装丁がよい。

話によってぴったりの色紙を、短編と短編の間にはさみこんでいるのが粋である(ハードカバーでも、文庫本でも)。

そういうふうにしているだけで、本の世界が頭の中だけではなくて、実際に視覚から色を通して広がっていくから不思議だ。色紙があるとないとでは、話の読後感や印象に大きな差が出てくるのではないだろうか。


そして、話の質がよい。

山田さんは、ことばにできないとても微妙なこころのひだの動きを、誇張しすぎず的確に、描写している。時にそれは読者の心を言い当てすぎて、なんだか「痛い」共感を呼ぶ。私には灰色の章「雲の出産」がそれであった。この短編には、外見やふるまい、内面さえも愚鈍な人間を前にして、人がどれだけ残酷になり、優越感を感じていい気になれるかということがとても分かりやすく描かれている。私は自分のことを言われているようで、おろおろしてしまった・・・。


どこにでもある人の心の、ちょっとした動きを、よくここまで繊細に忠実に再現できるものだ、と感嘆する。汚い感情でさえも、色になぞらえうつくしい作品のように感じる、傑作です。


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せつない話 (光文社文庫)

せつない話 (光文社文庫)せつない話 (光文社文庫)

光文社 刊
発売日 1993-10
オススメ度:★★★




* 山田詠美が編む珠玉のアンソロジー。 2009-04-21
* 18年間読まれ続けて50万部を超えるロングセラー。

* 「せつなさ」という大人の贅沢に浸りたい。


と文庫本のオビにある。収録されているのは次の14編。


1.手品師          吉行淳之介

失恋青年が失恋相手の前で、水槽を使った手品に失敗して死のうとする話。


2.けものの匂い       瀬戸内晴海

虎の匂いで虎の故郷をおもい、家があって家に居つけない自分とをダブらせる話。


3.恋の棺          田辺聖子

離婚歴のある29歳の女が、一度だけと決めて19歳の甥をホテルに誘う話。


4.一枚の繪         八木義徳

美術雑誌で見た一枚の絵に心を動かされ、それがなぜなのか謎解きする話。


5.贈り物          丸谷才一

村の女に熱愛した兵隊が、軍の備品を財布に改造し贈ろうとして騒動になる話。


6.庭の砂場         山口 瞳

庭の砂場をみて、ガンで死んだ弟について幼児期から回想する話。


7.ハワイアン・ラプソディ  村上 龍

クリプトン星に帰りたがっている老いたスーパーマンに、空飛ぶ手助けをする話。


8.黒い絹          山田詠美

「ジゴロ」の山田詠美版。これが最も「せつない話」らしくない話。


9.菊の香り         D・Hロレンス

炭坑事故で死んだ夫の遺体をみて、一度も愛したことがないことを思い知る話。


10.不貞           A・カミュ

夫と自分はお互いを愛してはいなかった、と気づいたことが「不貞」? 


11.ジゴロ          F・サガン

*ジゴロ=周知のように、金銭のために、金持の女性のお相手をする男性のこと。


12.マドモアゼル・クロード  H・ミラー

貧乏作家が天使のような娼婦クロードに夢中になる話。


13.欲望と黒人マッサージ師  T・ウィリアムズ

黒人マッサージ師に身を任せ、最後は食べられることを熱望した倒錯話。


14.サニーのブルース     J・ボールドウィン

ミュージシャンである弟サニーのピアノ演奏を聴き、初めて心が通じ合えた話。


* すいでんとしては、「ハワイアン・ラプソディ」が一番せつなかった。

* 「恋の棺」は、「女の恐ろしさ」を見事に描いている。




一流のせつなさの共感を味わえる 2005-02-06
最近流行のちょっと軽めな若い作品では物足りないけど、過去の作品はどれを読んだらいいのかわからない、という人にとてもいい選集だと思いました。巻末には収められている作家・翻訳者のプロフィールが載っており、興味をもった作品や作家について、読書の幅を広げていくことができます。
作品の中身も「せつない」を軸にくどくなく、バランスよく集められており、邦、洋と一流の作家の短編がさくさく読めました。
作品力というか、やはり一流の作家の作品の良さは不滅です。
そんな作品は、選者の作品にあるような、年を重ね知った賢さ故のせつなさの共感、という贅沢な時間を読む人に与えてくれます。

「せつない」を味わえる心のゆたかさ 2004-05-04
私たちは一つの形容詞で説明しがたい複雑な心境を報告するときに「せつない」という語を用いる。それは甘く苦しい、すっぱくて痛い、寂しいなどさまざまな思いが胸に去来する。編者の山田詠美はその矛盾に満ちた感情を本書のあとがきにおいて「五粒以内の涙」と説明した。非常に巧みな表現だと思う。

私たちは年を経るにつれ経験を積む。生きていく中で正義や道徳ばかりが通じるわけでなく、世の不条理に泣かされることもある。しかしいくら「あはれ」の国民性とはいえ、そのたびにせつながっていたら身がもたない。私たちはそんな感情に蓋をして、マシーンとなって日々の仕事をこなす。

大学共同利用機関法人、情報・システム研究機構の統計数理研究所が4月28日公表した「日本人の国民性調査」によると、「心の豊かさ」の面で日本の現状を「良い」と感じている人は25%で過去最低だった。「心が豊か」であることはすなわち、人情の機微に触れることと言えなくはないか。自分自身の感情を素直に許容して吟味し消化することによって、他人との共感の幅が広がりコミュニケーションが豊かなものになる。残念ながら現在の日本は自分の生活を維持するので手一杯頭一杯、他人とのそのような交流はわずらわしいものでしかないのだろうか。自分の感情を自覚するのは苦しいことなのか。

本書に載せられている15の短編はいづれも微細な感情の揺れを描いたものである。そしてこれらに、私たちの日常には普段見過ごしているもしくは蓋をしている感覚というものがふんだんにあることに思い出される。


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