医師 募集 医師 転職 Amy Life 山田詠美風味図鑑 せつない話 (光文社文庫) 忍者ブログ
山田詠美の小説は官能的な心理描写や身体器官の描写が本当に秀逸です。快楽に肯定的に生きるエネルギッシュな人を描くポンちゃんの作品を紹介しています。
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せつない話 (光文社文庫)

せつない話 (光文社文庫)せつない話 (光文社文庫)

光文社 刊
発売日 1993-10
オススメ度:★★★




* 山田詠美が編む珠玉のアンソロジー。 2009-04-21
* 18年間読まれ続けて50万部を超えるロングセラー。

* 「せつなさ」という大人の贅沢に浸りたい。


と文庫本のオビにある。収録されているのは次の14編。


1.手品師          吉行淳之介

失恋青年が失恋相手の前で、水槽を使った手品に失敗して死のうとする話。


2.けものの匂い       瀬戸内晴海

虎の匂いで虎の故郷をおもい、家があって家に居つけない自分とをダブらせる話。


3.恋の棺          田辺聖子

離婚歴のある29歳の女が、一度だけと決めて19歳の甥をホテルに誘う話。


4.一枚の繪         八木義徳

美術雑誌で見た一枚の絵に心を動かされ、それがなぜなのか謎解きする話。


5.贈り物          丸谷才一

村の女に熱愛した兵隊が、軍の備品を財布に改造し贈ろうとして騒動になる話。


6.庭の砂場         山口 瞳

庭の砂場をみて、ガンで死んだ弟について幼児期から回想する話。


7.ハワイアン・ラプソディ  村上 龍

クリプトン星に帰りたがっている老いたスーパーマンに、空飛ぶ手助けをする話。


8.黒い絹          山田詠美

「ジゴロ」の山田詠美版。これが最も「せつない話」らしくない話。


9.菊の香り         D・Hロレンス

炭坑事故で死んだ夫の遺体をみて、一度も愛したことがないことを思い知る話。


10.不貞           A・カミュ

夫と自分はお互いを愛してはいなかった、と気づいたことが「不貞」? 


11.ジゴロ          F・サガン

*ジゴロ=周知のように、金銭のために、金持の女性のお相手をする男性のこと。


12.マドモアゼル・クロード  H・ミラー

貧乏作家が天使のような娼婦クロードに夢中になる話。


13.欲望と黒人マッサージ師  T・ウィリアムズ

黒人マッサージ師に身を任せ、最後は食べられることを熱望した倒錯話。


14.サニーのブルース     J・ボールドウィン

ミュージシャンである弟サニーのピアノ演奏を聴き、初めて心が通じ合えた話。


* すいでんとしては、「ハワイアン・ラプソディ」が一番せつなかった。

* 「恋の棺」は、「女の恐ろしさ」を見事に描いている。




一流のせつなさの共感を味わえる 2005-02-06
最近流行のちょっと軽めな若い作品では物足りないけど、過去の作品はどれを読んだらいいのかわからない、という人にとてもいい選集だと思いました。巻末には収められている作家・翻訳者のプロフィールが載っており、興味をもった作品や作家について、読書の幅を広げていくことができます。
作品の中身も「せつない」を軸にくどくなく、バランスよく集められており、邦、洋と一流の作家の短編がさくさく読めました。
作品力というか、やはり一流の作家の作品の良さは不滅です。
そんな作品は、選者の作品にあるような、年を重ね知った賢さ故のせつなさの共感、という贅沢な時間を読む人に与えてくれます。

「せつない」を味わえる心のゆたかさ 2004-05-04
私たちは一つの形容詞で説明しがたい複雑な心境を報告するときに「せつない」という語を用いる。それは甘く苦しい、すっぱくて痛い、寂しいなどさまざまな思いが胸に去来する。編者の山田詠美はその矛盾に満ちた感情を本書のあとがきにおいて「五粒以内の涙」と説明した。非常に巧みな表現だと思う。

私たちは年を経るにつれ経験を積む。生きていく中で正義や道徳ばかりが通じるわけでなく、世の不条理に泣かされることもある。しかしいくら「あはれ」の国民性とはいえ、そのたびにせつながっていたら身がもたない。私たちはそんな感情に蓋をして、マシーンとなって日々の仕事をこなす。

大学共同利用機関法人、情報・システム研究機構の統計数理研究所が4月28日公表した「日本人の国民性調査」によると、「心の豊かさ」の面で日本の現状を「良い」と感じている人は25%で過去最低だった。「心が豊か」であることはすなわち、人情の機微に触れることと言えなくはないか。自分自身の感情を素直に許容して吟味し消化することによって、他人との共感の幅が広がりコミュニケーションが豊かなものになる。残念ながら現在の日本は自分の生活を維持するので手一杯頭一杯、他人とのそのような交流はわずらわしいものでしかないのだろうか。自分の感情を自覚するのは苦しいことなのか。

本書に載せられている15の短編はいづれも微細な感情の揺れを描いたものである。そしてこれらに、私たちの日常には普段見過ごしているもしくは蓋をしている感覚というものがふんだんにあることに思い出される。


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