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山田詠美の小説は官能的な心理描写や身体器官の描写が本当に秀逸です。快楽に肯定的に生きるエネルギッシュな人を描くポンちゃんの作品を紹介しています。
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4U(ヨンユー) |山田 詠美

4U(ヨンユー)4U(ヨンユー)
山田 詠美
幻冬舎 刊
発売日 1997-07
オススメ度:★★★




男と女の間 2008-10-07
男と女の間(セクシャルな部分を含む、当然ですが)に関連した短編集です、サラリと読めて気持ちよい切り方です。中でも気になったのは、突然昔の友人から告げられる共通の知り合いの遺言にまつわる話し「眠りの材料」、隣の夫婦とのやっかいでいて甘美な秘密の繋がり「血止め草式」、不思議な場所で出会うことになった男と女の始まりから終わりまでを描く「男に向かない職業」、風変わりな友人との関係性にセクシャルなものが入り込むとどうなるのか?を描く「高貴な腐食」です。



どれも20代中盤から後半にかけての男女の機微をかなり忠実に、しかも正直に描かれていて私は好感持てました。男でも、女でも、自分の立ち位置から逃れることは出来ないですし、その性別が基本になるのだと個人的には考えます、ストレートなもので。違う立場の方がいて、その方々とも偏見なく分かり合えるとは(ある程度なら)思いますが、ストレートな方々に向けられた物語です。


しかし、私の今の年齢からですと、なかなかそれだけではイケナイな、と思いました。懐かしくすら感じられます、20代後半から30代前半が。今でも迷いまくりですけれど。



ちょっとした(私を含む30代後半より上の方なら)ノスタルジーを気持ちよく言葉にしてくれて、しかも正直で冷静な観察と知っているけれどちゃんと言葉にするのが難しいことを言葉や文章を読む事で理解させてくれる作品です。20代の方でも面白く読めると思います、男でも女でも。男女の間の様々な関係について興味のある方にオススメ致します。

大人視点への移行が読み取れます 2007-02-15
『姫君』や『マグネット』、そしてこの作品と、

かつての初期作品に比べ、著者の視点が「大人視点」に移っていった気がします。

このあたりから「死」というものが少しずつ作品に彩りを与えていっている。


私は著者の大ファンで全作品読んでいますが、そのように感じます。

中期作品。


そして『風味絶佳』と続き『無銭優雅』に至る・・・ような。



初期と比べて変化を遂げる著者の道程を探るのにいい作品だと思います。




意味深な贈り物。 2005-12-18
この本は、愛する女性からの贈り物でした。

だから、いろいろ考えて読んでしまいました。

内容は、少しシュールなラブロマンス短編集です。

シュールというよりも、アングラの方が合っているかもしれません。

読もうと思えば、4時間ぐらいで読める本ですが、考え出すと時間が経つわ経つわ。

長期休暇の心休まる時に読むのが最高かな。


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エイミー・セッズ |山田 詠美

エイミー・セッズエイミー・セッズ
山田 詠美
新潮社 刊
発売日 1999-08
オススメ度:★★★★




視覚と触感まで楽しめる「エイミー・セッズ」 2005-04-17
東京駅から我が家まで新幹線で3時間。「何読もうかな〜」と手にしたのがこの「エイミー・セッズ」と「エイミー・ショウズ」だった。エッセイが好きで、楽しい装丁、そして山田詠美。わー決まり!この選択は今でも間違っていないと思っている。後ろにちょろんとエイミーが肘つけて私を見てる。黒・赤・黄色、そしてビニールカバーの下にはグリーンがちょろんと覗いている。私はこの色遣いと本を手にした時の触感を十分楽しみながら新幹線タイムを楽しみました。
一番最初の「アイダに似てる」が一番好きです。「酒のあやまちなんてもんはない」「故森瑶子氏のこと」など、装丁と同じくらい中身もずっしり。私は軽い本が好きなので、文庫版が出ると買いなおす性質だけど、この二つだけはハードカバーの方が好きだし、お勧めします。触ってみて。

想像力を働かせて生きよう 2003-06-13
作家の山田詠美(エイミー)が、何に幸せを感じ何に怒りを感じるかを、醒めた文章でつづったエッセイ集。『AMY SHOWS』と対になって発売されていて、そちらは旅行記と読書録がメインになっている。装丁がペイパーバッグ風になっていて、それも素敵。
エイミーは、黒人の夫と米軍のコミュニティーの中で暮らしている。エイミーは、お酒やタバコや夜遊びが大好きだと、公言してはばからない女性だ。自然と彼女は、人種や性別の違いによる偏見や差別に絶えずさらされてきた。そんな日常を彼女はどんな言葉で吐き出すのか。
新潮45に93年から95年に渡って掲載されていたエッセイが、特に良い。
偏見や差別のない物の見方とはどのようなものか、具体的に教えてくれた。差別や偏見はきっと誰の心にも潜んでいて、あらゆる差別を根絶しましょう、なんて言ったって、それはきれい事でしかない。どんなに悪気はなくたって、自分の?「うかつ」な一言が傷を負わせてしまったりすることがあるかもしれない。でも事が起こった後で、あなたを傷つけるなんて考えたこともなかった、なんていう言い訳は通用しない。大切な誰かをたった一言で失うことのないように、私たちは、時に自分を疑ってみる必要がある。


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マグネット |山田 詠美

マグネットマグネット
山田 詠美
幻冬舎 刊
発売日 1999-03
オススメ度:★★★★




オトナの女になること 2009-05-05
罪の意識を持つということは洗練されるひとつの方法

体の奥底にあるずれた瓶の隙間から流れ出るもの

ひっそりと皮膚の内側に塗られ、特定の男によって抽出される


大人の女にならずにいられない。AMY作品。

罪と罰 2008-03-13
罪とは、罰とは何か。様々な場面で「常軌を逸した人」と「そうでない人」が描かれていますが、誰もが「常軌を逸する」可能性を秘めている事を指摘しています。
最初からあとがきに至るまで、傑作揃いの短篇集です。

紙一重の人生… 2006-09-28
9つの短編集です。

中でも最初と最後のストーリーに心惹かれたので、ちょっと書きます。


最初のストーリーは「熱いジャズと焼き菓子」

私たちは、きっとみんな、つき合っている人とは、

他の人が入り込まない個人的な一対一のつき合いと、

社会の一部である人間同士としての、他人や社会をも巻き込んだつき合いと、

両方の立場をとりながら、接していると思うんです。

でも、そのバランスって崩れるときがあるかもしれない。

そうなったとき、

社会を捨てその人との恋に生きることと、

社会性を失わず、道徳と倫理に従って冷静に行動することでは、

大きな違いがあるようで、実は紙一重。

女性はたいがい、相手の一言によって、前者にも後者にもなれるんじゃないかな。

きっと私も、普段は毒のない良き市民をしているけれど、

相手によっては…???、なんて考えてしまいました。


最後の話は「最後の資料」という

著者・山田詠美さんの身内の方が登場する実話です。

著者の身辺や、実際の考え方、もののとらえ方が見えて

とても興味深いです。


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A2Z |山田 詠美

A2ZA2Z
山田 詠美
講談社 刊
発売日 2000-01
オススメ度:★★★★




ひたすらかっこいい 2006-11-19
山田詠美の文章が好きで、気づくと夢中になっていつも一気に読んでしまう。

この作品も「詠美節」が全開。

彼女の作品が好きな自分は読んでいて気持ち良かったけれど

同時に少し物足りない気もした。

主人公と夫との関係、恋人との関係、

面白いし納得できる部分もあったけれど、

はたしてここまでシンプルにいくものだろうかと

ちょっと疑問も持ってしまった。



老練な書き手だが… 2006-07-18
最初に断っておくが、私はこの作者の小説をあまり好きでない。

文章は読みやすく、語彙のセンスも卓抜、構成力にも優れているが、

表現されている思想が

あまりにも露骨な選良意識と蔑視感情、

幼稚な自己顕示欲で埋め尽くされているからだ。

本編は途中まではそうした悪癖が上手く抑えられており、

反感を持たずに読めた。

主人公と若い恋人との照れ隠しめいた応酬も

リアルで共感の持てるものに仕上がっている。

だが、主人公と同性の親友の会話の辺りに

ファンの人にはそれこそが魅力なのかもしれないが

この作者の良くない部分がまた出てきてしまっている。

「雑誌に載ってるようなマニュアル通りの恋愛しか

できない若い女たちとは違う私たちは大人のいい女」

という優越感に集約される女性二人の自意識に

逆に幼稚で大人になりきれない心象が露呈している印象を受けた。

「三十代も半ばの編集者や大学の先生ってこんなに暇なのかしら?」

と白けた感慨さえ生じた。

主人公夫妻がそれぞれ異なる出版社に勤める編集者だという設定が、

物語の根幹を成す重要な設定であるにも関わらず、

仕事の描写にあまり現実味が感じられない点も気になった。

「仕事ではライバル」である夫婦の葛藤が

所詮感情面に留まる綺麗事の範疇を逸脱せず、

食い扶持を稼ぐ仕事で争う緊張感や切迫感に乏しい。

作者の理想や美意識を優先して、

主人公夫婦をせせこましい現実に囚われない造型にしたいのかもしれないが、

主軸となる設定に嘘っぽさを感じさせるやり方は率直に言って手落ちだと思う。

尚、この作者の作品は概して、作中の主人公と作者自身の思想がほぼイコールの関係にあるが、主人公が文字を扱う職である本編では特にその傾向が強い。

それゆえ、主人公が夫からも深い部分で必要とされ続け、

若い恋人からも新進の作家からも魅力ある女性として扱われる展開から

自己の分身たる主人公を不要に甘やかす作者の捩れた選良意識が覗く様で鼻持ちならない。

初めての山田詠美 2005-12-06
オランダとスペインを旅行してたときに一気に読んだ本の一つ。

自分の恋愛に対する考え方は幼稚だなぁと思っていたときに、勉強になるかなと思って手にした本。

初めて読んだ山田詠美の本。


35歳の既婚の女性文芸編集者と同業者の夫、そして年下の男との話。


最初のうちは、とにかく腹が立った。

ムカつく。

自分の恋愛を反省しようと思ってたのに、「おれのが正しい!」とか思った。

「『恋って仕様の無いものだと思うよ、私は』

『格好悪いよな』

『成生もそう思う?』

『うん。だって主人公のつもりになっちゃうんだぜ。柄にもないのにさ。美しい夕暮れの中で、切ない思いを抱えているおれ、なんてね、あ、涙、でてきた』

そういって、成生は、笑いながら泣き真似をするのだった。考えてみれば、恋愛小説の主人公は、いつだってその気だ。照れることを知らない。私たちは照れる。けれど、そうしながらも、主人公の役を降りない。」

どろどろした不倫小説じゃなくてさばさばしてるのはいいが、句点の多い甘っちょろい言い回しと、この年下男ってやつが気取っててムカつくなぁ、とか思いつつも洗練された年上女性に惹かれながら読み進む。

と、後半の展開は秀逸。

上手くいっていたようにみえた恋愛の裏で、実はマイナス要素が着々と積み上がっていて、些細なことからそれが表立って呆気なく壊れてしまう、感じが巧みだと思った。

というかそういうことが、自分の一番学ぶべきトコだったんだろう。

そして後半のその非常事態で、言葉や理屈で話を整理していく主人公の姿勢が泣ける。


「私は、つき合い始めの頃に、月を一緒に食べようと電話で彼が提案したことを思い出した。あれから、ずい分と長い時間が流れたような気がする。息を飲むほどに新鮮だった彼の言葉の数々は、もう私の耳に慣れている。彼もまた、同じように感じているのだろう。・・・こんな自分、好きじゃない。私は、そう思った。自己完結した世界の中だけで自分を好きでいられる程、私は強くないのだ。私は、いつも他人の手を必要としている。それも、一番、近いところにいる他人の手を。ぼくの好きなきみ。私は、自分がそれに値する者であるのを、いつも感じていたいのだ。」


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メンアットワーク―山田詠美対談集 (幻冬舎文庫) |山田 詠美

メンアットワーク―山田詠美対談集 (幻冬舎文庫)メンアットワーク―山田詠美対談集 (幻冬舎文庫)
山田 詠美
幻冬舎 刊
発売日 2001-08
オススメ度:★★★★




古いけど 2009-07-01
購入時期も少し前ですが、これ対談が90年代前半から半ばです。

なので、ちょっと古さを感じるところもありますが、

それにしても内容や面子がすばらしい。


最初に某知事が出ていて、いつもは鼻持ちならない感じのこの方も

詠美さんの前では、意外と普通。

ちゃんと会話になっている。

訳の分からないカタカナを並べ立てるのはいかがか、思うけれど。


水上勉さんってこんな感じの人なんだ、とか

詠美さんって若い頃から、小説の中のような恋愛したり、

そういう言葉吐く人だったのだなー

(とんかつを食べて、「熱せられた死骸はおいしい」だったかな?)

と改めて思わされました。


メンアットワークの改訂版出してほしいなあ。

詠美さんが好きな男性作家、女性作家との対談集。

1冊ずつ希望です。

伊藤整が、村上春樹が… 2006-12-19
MEN AT WORK 仕事中のおとこたち というユニークなタイトル。

一人目の対談相手は、今nepotismで喧々諤諤中の石原慎太郎氏。


うまがあうっていうのか、話が本当にはずんでいて、丁丁発止すばらしい、

やりとり。30頁におなじみのH.murakamiがでてくる。

退屈だけど万人に受ける小説の作家としてNO.1だという(石原氏発言)

Emyさんいわく、「女にもてないおとこがでてくるというところで

受けている。」2人ともharuki氏に関してはニュートラルに

ざっくばらんに手短に語った。


一方伊藤整は石原氏に「…作家は何をしてもいい」と語ったとか(40頁)。

人物を高くかっている。今こういう人はいない、といわんばかり。


現在の、戦士、石原氏とは別人のように山田さんにざっくばらんに熱く語りかける。


山田さんは役得。彼女だからこの本が出来た。学生さんで、作家研究などをするひと、

一度目を通すべし。とてもわかりやすくていいです。

心の栄養に。 2002-06-05
彼女の好きな男が続々登場する対談集。
今は東京都知事の石原氏も登場し、彼女と魅力的な生き方や、文壇について
意見を交わしている。
彼女の考えや生き方にもっと触れたい人は必ず読むべき。
「これは」という物の見方や意見が多く、ページに折り目を付けながら
読み進めて行ったら、2分の1のページがに折り目が付いていた。


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